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【10分でわかる】労働者協同組合


令和4年10月から新しい法人制度「労働者協同組合」がスタートしました。地域社会の多様なニーズに応えることで、地域の課題の解決を図り、またそれと同時に法人の従事者も多様な働き方を実現できる新しい制度です。


労働者協同組合ってどんな仕組み?


多くの会社は営利法人であり、出資者や経営者と労働者は分離されています。

 

その点、労働者協同組合は、労働者が自ら出資して、自らの意見を反映し、自ら従事することを基本原理としています。これにより従来の雇用の枠組みから脱し、多様な就労の機会を生み出すことができます。

 自らの手で自らが働く場所を作り、それが地域貢献にも繋がることができれば、こんなに素晴らしいことはありません。これからじわじわと増えていくことが予想されます。


労働者協同組合の7つの特色


それでは労働者協同組合の特色を見ていきましょう。

 

|1. 介護・福祉・子育て・地域づくり関連などあらゆる事業の実施が可能です。

(労働者派遣事業を除く-基本原理に反するため

 

|2. 議決権は平等

出資額の割合に関係なく、1人につき1票の議決権と選挙権を有します。

 

|3. 組合員は労働者として保護される

組合員は労働者協同組合と労働契約を締結するので、当然ながら労働者としての

保護を受けます。 また理事も労働者としての法的保護を受けることができます。

法的保護=最低賃金の適用、労災補償、雇用保険加入など

 

|4. 法人格の取得期間がスピーディ

NPO法人と違い、行政の許認可が不要です。

法律上の要件を満たせば、登記することで法人格が与えられます。

 

|5. 出資金の配当

期末に残ったお金(剰余金)を、事業に従事した程度に応じて配当することができます。ただし、税制上の優遇を受けたい場合は配当はできません。

 

|6. 都道府県知事による指導監督

都道府県知事に決算報告書を提出することが義務付けられており、指導監督も受けます。

 

|7. 法人税がNPO法人並み

「期末に残ったお金(剰余金)の配当を行わない」「法人解散後は出資額を除く財産を国に帰属する」と取り決めをした場合など、一定の条件を満たすと法人税の負担はNPO法人並みとなります。


npo法人との違い


*1 労働者派遣事業に限っては、取り扱うことができません。

*2 理事は出資者(組合員)でなくてはなりません。


労働者協同組合の設立の流れ


設立の流れは以下の通りです。

 

発起人を3人以上集める

書類の作成(定款、事業計画書、収支予算など)

定款の公告後、創立総会の開催

(定款等の議決、事業計画の取り決め役員の選出を行います)

出資金の払い込み

法務局で設立登記の手続き

組合と組合員とで雇用契約を締結

都道府県知事に設立の届出(登記後2週間以内)

労務関係・税務関係等の届出を行う

事業の開始


npo法人からの組織変更


本来、NPO法人は株式会社や合同会社といった他の法人に組織変更(名義変更)することができません。法人を設立する根拠となる法律が違うからです。

 

ところが、この労働者協同組合法により施行日(令和4年10月1日)から3年以内であれば、NPO法人から労働者協同組合への組織変更が可能になりました。

解散や清算手続きを取ることなく、事業を継続したまま法人格を変更できるのです。


労働者協同組合の具体例


厚生労働省のHPに好事例として、いくつかの労働者協同組合が紹介されています。

白ボタンをクリックしてご参照下さい。 


さいごに


地域社会の課題の解決のために活動を行おうとする方々が、選択肢を広げ、多様に富んだ活動を促進・実現できれば、こんなに素晴らしいことはありません。

行政書士事務所つしまでは、労働者協同組合の立ち上げに際して、設立に必要となる定款の作成、行政への各種届出、ご要望であれば設立後のサポートも可能です。